Disease X感染症対策WG公開セミナーを開催しました

2022年03月18日 Disease X感染症対策WG公開セミナーを開催しました

開催日時

2022年2月28日(月)15時00分~17時00分

開催場所

オンライン(WEB会議システム)

参加者

150名

開催概要

 (1)講演「新型コロナへの挑戦~下水疫学調査の活用~」
    (株)AdvanSentinel 今井雅之氏、塩野義製薬(株) 岡田和也氏
    〇下水疫学調査の概要・有用性(従来のPCR法との比較 等)について
    ・無症状の人も含めて手間なく検査できる。
    ・地域ごとの流行状況が簡単にわかる。
    ・トータルコストとして安価。
    〇(株)AdvanSentinelの設立の経緯と事業・サービス概要について
    ・2022年1月20日設立。下水疫学調査に関する国内トップの実績をもつ2社(塩野義製薬(株)、(株)島津製作所)による
     ジョイントベンチャー。
    ・下水モニタリングを始めとする新たな公衆衛生上のリスクアセスメントサービスを提供し、人々の健康とサステナブルな
     街づくりに貢献する。
    ・まずは下水疫学調査の有用性を伝えていき、サービスモデルの洗練を進め、新しい社会インフラとして根ざしていきたい。
    〇下水中のウイルス濃度と新規感染者数の相関関係について
    ・下水と地上の多様なデータを活用し、コロナ対策に活用可能なサービス・ユースケースを開発する。
    ・京都を始めとして複数自治体にて、下水中のウイルス濃度と新規感染者数の相関関係がみられている。
    ・下水疫学調査から、流行の立ち上がりと変異株の置き換わりの傾向を捉えられている。
    ・今後は、2週間先の流行状況の予測モデルを含めて「感染症の予報」を実現することを目標にしている。


<岡田氏>               <今井氏>
 (2)パネルディスカッション「DXが導く感染対策の未来」
  (コーディネーター)
    ・京都コンピューターシステム事業協同組合(KCA)理事長 桂田 佳代子氏
  (パネリスト)
    ・(株)島津テクノリサーチ 副事業部長兼分析研究センター長 八十島 誠氏
    ・(株)AdvanSentinel 取締役副社長
     (塩野義製薬(株) DX推進本部デジタルインテリジェンス部専任課長) 今井 雅之氏
    ・(株)アドインテ 執行役員 荒川 邦雄氏
    ・京都大学名誉教授、国土交通省「下水道における新型コロナウイルスに関する調査
     検討委員会」委員長 田中 宏明氏
    ・京都府政策企画部副部長(CIO)西村 敏弘氏

    〇パネリスト自己紹介および一問一答
    Q1.Disease X感染症対策WG設立にかける思いは?
    A1.未病の段階で予測することが対策として最も良いという考えで、人流やワクチン接種など変数が多い中、AIを用いた
     DXによる感染症対策に取り組む。(京都府 西村氏)

    Q2.2階建て検査システム「京都モデル」の社会実装に向けた展望と課題は?
    A2.迅速な検査方法の確立、コストカットによる調査頻度の向上、試料採取の自動化、実証データの積み重ねが重要と
     感じている。(島津テクノ 八十島氏)

    Q3.AdvanSentinelが取り組む下水疫学の社会実装の形とは?
    A3.下水疫学の有用性を分かりやすく伝え、社会インフラ化し、次なるパンデミックに備えた安心の街づくりを目指す。
     (AdvanSentinel 今井氏)

    Q4.感染症という問題を分析する上で、着目したデータや分析手法は?
    A4.人流、CO2観測量、ワクチン接種状況などのデータを用いて、モデルの精緻化よりもデータの収集環境を整え、
     因子の影響度を定量化することに主眼を置いている。(アドインテ 荒川氏)

    Q5.国の動向や他団体の取組を踏まえて、Disease X感染症対策WGへ期待することは?
    A5.下水疫学調査に関連する自治体や事業者の動きを見ると、政策企画部が主なのは京都府の特徴。府市をまたがった
     オープンイノベーションの考えに基づく取組は全国の先駆けであり、今後に期待する。(京都大学名誉教授 田中氏)

    〇クロスセッション「社会実装するために何をすべきか?」
    ・利用者が分かる個別施設のデータが下水処理場にどう活かされるのか、AdvanSentinelでの活用やアドインテに
      モデル化してもらうなど出来れば面白い。
    ・社会全体が未病対策にシフトしないと医療費が財政状況を圧迫し続ける。それに比べれば下水疫学調査のコストは低い。
      社会全体の未病対策の座組みが肝なのではないか。
    ・社会事象に対策を打つにはデータ連携基盤が必須。単発モジュール型による社会実装ではなく、いろいろな要素が
      絡み合った創造誘発型の環境を作っていきたい。
    ・下水疫学はツールであり、デジタル化、見える化、施策へどう繋げるか。技術的な視点では、スピード・正確性・
      コスト面の向上を図りながら、生データをどう加工するか。
    ・新型コロナが風化しない間に、制度的・予算的に継続するものとなるよう地方公共団体から国へ働きかけていくことが必要。

 

<西村氏> <八十島氏>
<今井氏> <荒川氏>
<田中氏> <桂田氏>

 

 (3)協力機関紹介
    ・京都コンピューターシステム事業協同組合(桂田理事長)
    ・京都デザイン&テクノロジー専門学校(杉内事務局長)
    ・京都市上下水道局(勢川課長)

 (4)山下晃正 京都府副知事 挨拶
    ・オープンイノベーションの一つの形態として、一定の可能性を見出してきており感謝。
    ・WHOの定義によると、健康の定義は3つ。
     ①病気から身体を守るための健康 ②心の健康 ③社会的健康
    ・京都大学の山極 元総長によると、第二次大戦後、アメリカの戦争孤児の施設で子供の死者数が増えた。
     これは病気ではなく、社会参加できないストレスによるものと後に判明。
    ・現在のコロナ禍でも社会的弱者の自殺数が増えており、身体の健康を守りながら、社会的健康や心の健康を守っていくことが
     大きな課題。
    ・例えば学業が制限されている大学生が社会に出た後まで、長期的なフォローアップに取り組んでいかないといけない。
    ・こういった現代の課題に対し、京都ビッグデータプラットフォームで対応して参りたい。

(文責:Disease X WG事務局)

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