2022年02月07日 第1回ビッグデータ流通加速化WGを開催しました
開催日時
2022年1月26日(水) 9時30分~11時00分
開催場所
オンライン(WEB会議システム)
参加者
37名
開催概要
(1)WGの概要説明
・データをどのように集め、どのように事業に繋げていくのかが課題である。
・産官学の垣根を超えてデータ流通を加速させ、データに基づく社会課題の解決やビジネスの創出をはかり、
データ連携による価値創出の可能性を探ることが目的である。
(2)講演「脱炭素社会で求められるデータ利活用」
東京都市大学大学院環境情報学研究科 研究科長 教授 伊坪 徳宏氏
・COVID-19で経済状況の格差を大きくしているが、それよりも異常気象や気候行動の失敗、社会分断の影響が大きく、
将来的には環境の問題の影響が更に大きくなり、いずれもSDGsに帰結する。
・影響の緩和、問題の解決に向けてデータ分析をし、活用していく循環が大事である。
・世界でLCAに関する論文が増加してきている。
・製品のライフサイクルで注目すると、非常に多岐に渡るデータが必要である。その中で環境影響を下げるのに
重要な工程は、優先順位を見ていくことにより少数に絞ることができる。
・データ分析を経営活動やスポーツ活動にも使っていくのが大事である。
・世界規模の大きなリスクを緩和するためには、データ分析やLCAの活用が重要である。
Q 資源循環でもLCAの活用ができると思うが、日本で行政単位で実施しているところはあるか。
A 脱炭素や2R、食品ロス等で進めている自治体はある。市民の理解を得ること、国との連携が必要である。
(3)先駆的事例紹介
◆「中小企業としてCO2の見える化に取り組むこと」
(株)ヴァンフォーレ山梨スポーツクラブ SDGs推進部 佐々木 大喜氏
・存続の危機から地域の企業や個人の支援により観客数が増加したが、試合後にゴミが大幅に増加した。
ゴミの分析をすると使い捨て容器が88%とわかった。
・スタジアム売店でリユース食器を使用し回収したのがチームのSDGsの取り組みの原点である。
・スポーツ界に環境への取組と貢献が期待されているという社会的背景に応えるため、東京都市大学と科学的・国際的基準に
基づく共同研究をスタートさせた。
・2021年4月にJリーグクラブ初のSDGs宣言を行い、新しいクラブの事業戦略として地域経済モデルの開発、
イノベーションの創出を目指している。
◆「中小企業の経理部視点でのCO2の見える化とは」
(株)ヴァンフォーレ山梨スポーツクラブ 総務経理部 横澤 康晴氏
・中小企業にとって、CO2の見える化、脱炭素化はハードルが高い。環境特化部門の立ち上げや専門の人材確保が難しいこと、
分別や節電など身近な取組はできるが数値化することや継続性が難しいことが理由としてある。
・東京都市大学との共同研究で、普段入力している会計伝票等を情報提供し、調査ヒアリング、CFP算定・分析の結果の提供を
受けている。
・分析結果を受け、CO2排出量の経年変化を詳細に把握することが可能とり、「中小企業版SBT申請」に求められるCO2排出量の
算定を自社で簡潔に行うことが可能になり、2021年中小企業版SBTにスポーツ団体として初採択された。
・今回の共同研究が中小企業のSDGs推進策の一つになればと考えている。
◆「京都の一企業としてCO2見える化システム開発に取り組むこと」
シンク・アンド・アクト(株) 先進技術ビジネス創出部長 中峯 良介氏
・企業評価の新しい評価軸としてCO2排出量が出てきている。今後は売上やスペックだけでなく、環境負荷の数字が掲載される
ようになってくることが考えられる。その中で中小企業ができる対応を考え、CO2の見える化システム開発に取り組んだ。
・環境問題に取り組む上で現在のCO2排出量を把握することが大事になるため、中小企業が資本や人材がなくてもシステムを
利用して簡単にCO2排出量の算出ができるシステムを開発した。
(4)クロストーク・質疑応答
Q 中小企業版SBT申請に気づかれたのはどのようなきっかけがあったか。
A 環境省から案内があり、申請に向けてスタートした。(佐々木)
Q SDGsについて、地元のスポンサーはどのような話をしているか。
A SDGsへの意識は高くなってきているが、何をやったらいいかわからないと言われることもある。今後は連携して
一緒にやっていくという提案をしている。(佐々木)
Q 作成したシステムは難しいものだったのか、簡単なものだったのか。
A システムは極めてシンプルであるが、会計伝票は企業により表記の違いがあるため、最初に紐づけのための手作業が
必要となる。(中峯)
Q 公に公開しているクラウド上に民間企業のデータを入れることについてどう考えるか。
A 会計データそのものをアップロードするのではなく、データの一部をアップロードすればよい。集めたデータをいかに
活用するかが大事だと考える。(中峯)
(文責:事務局)
<開催の様子>